BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

説明文での描写と観察力

学部留学生対象の作文授業の新年最初の授業を行った。
説明文のレポート提出と、お互いのレポートを読んで評価を記入した上で、1つずつ作文をもっとよくするための助言を受講者同士でしてもらった。
レポート課題は、12月に学習した説明文の書き方を踏まえて、年末年始に体験したことについて自分独自の観点による説明文を2ページ以内でワープロで書いてくることだった。
年末年始の旅行、神社への参拝、アルバイトなど、日常の身近な題材として生活作文風になりがちなテーマについて、客観的な事実として書くという説明文として書かれていた。
受講者からの助言は全体構成や段落といった内容のわかりやすさや文章の流れに関係したものがほとんどだった。
どの助言も的確で改善点を建設的に述べていた。
単なる体験を時系列に並べるだけではなく、自分独自の観点から整理した説明文になっていて、読んでいておもしろかった。
かわいいと思っていたものがだんだん恐い存在になっていく様、期待していたものが予想外に簡単に手に入ることがわかってショックを受けた様子、体験したことを数値を交えて描写した上で視点を変えて自分の評価も交えつつ客観的に評価をしていくこと、など、同じテーマで同じ条件で書いた説明文でも各人各様の書きぶりがあると思った。
作文では「考える力」や「思考力」の大切さはよく言われるが、描写のもととなる「観察力」も同様に大切なのではないかと思う。
説明文というのは観察力による描写のおもしろさが出てくる文章なのだなあと、説明文の多様性と可能性を感じた授業だった。