BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

日本語教育の大学院(修士)に入りたい人のために

●アドバイス

日本語教育を研究対象として大学院で学ぶ場合、研究テーマを決めること、研究テーマを日本語教育の研究の中で位置付けることが大切です。
日本語教育の概説書や事典を読んで、日本語の基礎的な知識を学ぶとともに、日本語教育の中にどのような分野があって、自分が本当に研究したいのはどの分野にあるのか、まずは自分で調べてみた上で、よく考えてもらいたいと思います。


自分の関心のあるテーマについて、視野を広げて、客観的に見ることをおすすめします。
大学院に行く前に、自分の関心のあることがどのように取り上げられているのか、調べてみてください。
自分の関心のあるテーマのみ、その分野のみ見ていても、全体の中での位置付けや重要性はつかめません。


●調べるときの注意点

・概説書や事典の目次を見て、日本語教育の中にどのような分野があるのかをつかむ。目次を見ると日本語教育の中での各分野の位置付けがわかる。
・自分の研究したいテーマがどの分野に含まれるのかを見る。関心のあるテーマが研究としてどのように位置付けされるかがわかる。
・あてはまる分野の説明を全部読んでみる。関心のある項目だけではなく、その項目も含めて分野全体について知る。



●研究対象としての日本語教育が大まかにわかる本

1)ここからはじまる日本語教育
姫野昌子・金子比呂子・村田年・小林 幸江・小宮千鶴子、ひつじ書房、1998年

教育現場を踏まえた実用的な観点の内容です。
日本語教師として教えるときの重要なポイントが概説されています。
専門的な用語を用いずに一般の人にもわかりやすく説明されています。


2)ベーシック日本語教育
佐々木泰子編、ひつじ書房、2007年

研究としての日本語教育がわかる内容です。
日本語教育で問題となる基礎的な事柄が大まかに専門的に説明されています。


3)日本語教育学を学ぶ人のために
青木直子・土岐哲・尾崎 明人編、世界思想社
2001年

2)と同じく、日本語教育の概説書です。



日本語教育関係の事典


1)新版日本語教育事典
日本語教育学会編、大修館書店、1982年
http://plaza.taishukan.co.jp/shop/Product/Detail/10221
日本語教育全般について説明されています。


2)日本語教育事典
日本語教育学会編、大修館書店、2005年
http://wwwsoc.nii.ac.jp/nkg/book/kankobutu/b-07.htm
1)の旧版で1)より20年以上古いですが、項目の説明で参考になるところもあります。


3)応用言語学事典
小池生夫(編集主幹)、研究社、2003年
http://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-3020-1.html
応用言語学の観点から日本語教育が独立した章で説明されています。
「外国語教育学をはじめ、言語習得、社会言語学、語用論、心理言語学、言語と脳、コーパス言語学、さらには日本語教育まで、近年、多様な発達を遂げている言語教育研究とその関連諸科学を、基本用語から最新の理論まで網羅。」(上記の研究社ウェブサイトより引用)


4)計量国語学事典
計量国語学会編、朝倉書店、2009年
http://www.asakura.co.jp/books/isbn/978-4-254-51035-5/
計量的な言語分析の観点から日本語教育が独立した章で説明されています。
「計量国語学とは,統計学的な方法を用いて,言語や言語行動の量的側面を研究する学問分野」(上記の朝倉書店ウェブサイトより引用)