BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

授業記録3(N)2009年1月20日(火)後半

16:05 論点2配布
「社会が“溜め”を回復しないかぎり、貧困化のスパイラルは止まらない」
<著者紹介>
・著書に『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』がある。
学習者にすべり台を知っているか、やったことがあるか、どんなイメージかを聞いてみる。→一度落ちたらなかなか上がれない
・研究者の道を選ばず、ホームレス支援のためのNPO法人を立ち上げる。
<貧困問題の背景について>
・教師の周囲の人間の具体例、または教師の経験を紹介する。
 事業などに失敗したときに戻る場所があるか、戻る家族があるか
 アパートを借りる際に所得のある保証人が2人必要
 →「じゃ、保証人がない人は?」と学習者から聞いてきた。
 保証人がいない⇒アパートが借りられない⇒仕事が得られない
・自己責任か、日本の社会問題か
・日本の家族という共同体が崩れてきている
・住所不定、ネットカフェ難民

16:22 接続表現について
問1. 接続表現・キーワードに印をつける(→宿題)
複合語もチェックする。

16:25 短作文練習
問2の1)例示:「〜のようなNが〜」を一緒に考えてみる。
「   」「   」「   」。〜には、こうした___が届く。
→〜には「   」の(という)ような悲痛なメールが届く。
 ※複数例をあげる場合、「   」「   」といった(など)のような

<気づいた点>
・要約文フィードバックは分かりやすかった。前回の内容(最初の段落が重要、他動詞の無人称など)が繰り返されることで定着が期待できる。今回は学習者に「どうして書き換えたのか」を聞くことでより意識化がされたように思う。
・「〜てしまう」については、どういう時なら使っても主観的にならないのか、まだ判断に迷うかもしれない。
・論点2は学習者にとっても興味深い問題なのか、発言を挟みながら、関心をもって聞いている様子が窺えた。教師による著者紹介、「すべり台」から入る興味づけ、「保証人」「家族の崩壊」などの問題提示も効果的だった。この文章を読みたいという気持ちが強くなったのではないかと思う。