BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

授業記録2(N)2009年1月13日(火)

15:26 記事要約
「である体」「書き言葉」で書くことを確認してスタート

15:41 前回の要約文の解説
<解説のポイント>
・ 重要なことは一番最初に書いてある。→その部分は必ず書くこと。
・ 1、2段落を一つにまとめる。(年賀状の受け付け+セレモニー)
<板書した要約例と指導コメント>
全国の郵便局で2009年の年賀状の受け付けが始まり、札幌市の中央郵便局では幼稚園と歌手KAZUMIさんも参加してセレモニーが行われた。
全国の郵便局で2009年の年賀状の受け付け開始にあたり、12月15日札幌市中央郵便局で受け付け開始セレモニーが行われ、…
→「〜にあたり」を使ったまとめ方は良いが、「年賀状の受け付け開始」と「セレモニー」の重要度はどちらにあるのか?
来年度の年賀はがきの発売数は道内で約2億6千万枚で、全国の発売枚数は昨年を上回る41億枚となるそうで、元日に確実に配達できるよう25日までの投函が呼びかけられている。
→「投函を呼びかけている」v.s.「投函が呼びかけられている」
事柄中心だからといって受身や自動詞としなくても良い。
他動詞を使っていても無人称を表す言い方がある。
  → 順序を変えることで、引用元が変わるような場合は注意が必要である。
※最後に今回の要約文の難易度を学習者に確認し、反応をみる。

16:00 宿題返却、作文・要約フィードバックの配布

16:05 宿題作文の解説
<例1、2、3>
・定義づけの表現「〜とは〜(のこと)である」「〜とは〜を意味する」
・「修了」は学問を修めること(「終了」とは異なる)
・「策謀の影がちらつく」は主観的な表現
・「アップ」は新聞や評論の表現で、大袈裟に聞こえる。→「上昇」
※カタカナで表記される副詞には注意が必要
16:20 論点1:要約練習・ミニレポート課題
問1:主観的な表現を客観的な表現に書き換える練習
1)マイナス評価「〜てしまう」
・「確定してしまう」→「確定する」、「失ってしまう」→「失う」
・「造ってしまった」→「造った」
・「せしめる」→「得る」
・「無謀な政策に安易にのっかり」
※「タンス預金」の説明
銀行に入れずにタンスにしまっておく、へそくり
2)書き手の評価や強調
・「アップ」していった→「高まった」「増加した」
・「14万人も増加していることがわかるから驚きだ」→削除
・「膨れ上がった」→「増加した」
・「どこ吹く風のようである」(慣用表現)→「無関係な立場にいる」
・「〜と言える資格がないことは明らかだろう」→削除
3)疑問、反問による強調
・「これは単なる偶然だろうか」→問題提示で使うのはOK
・「フリーターの身でどうやって返すというのか」→「返す方法はない」
4)名詞止め、倒置による強調
・「その数は…約9万人。」→「〜9万人である。」
・「減少した大学院生数。」→「大学院生数が減少した。」
・「博士も然り。」→「博士も然りである。」
・「それも、最初からわかったうえで。」→「〜うえでこのようにしている」
問2は最初の1問をやってみせ、残りは宿題とした。

16:33 「博士課程進学の利点と問題点」レポートの書き方について
プリントにしたがって説明

<気づいた点>
・要約文の注意点と解説(一番重要な情報は何か、他動詞の無人称、引用元が変わる)は分かりやすく、ポイントが絞られていた。
・後半は学習者の集中力が途切れてきているように見られたため、論点1:要約練習の問1は学習者に言わせても良かったのではないか。
・どのような表現が主観的な表現なのか、多くの例を通して具体的に分かった。また、それを客観的な表現に書き換える練習はとても面白い。