BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

文章を書くという「独話」

要約文を書くとき、具体的な特定の読み手を想定できるだろうか?

授業で、要約文の書き方についての質問に対して、どんな読み手を想定するかで要約文が変わるという説明をしました。
しかし、説明しながらも、文章を書く場合、書き手は実際に書くときに本当に具体的な特定の相手を想定しているだろうか、またそこまで具体的に想定する必要があるのだろうか、と思いました。
手紙やメモは具体的な個人に向けて書きますから、読み手は特定できます。
一方、レポートや論文では、例えば、授業の先生や学会誌の審査員などでしょうが、それでも特定の個人に向けて「○○先生へのレポート」「○○学会の○○先生への論文」のようなものにはならないでしょう。
具体的な読み手が想定できなくても文章は書けます。
しかし、その場に相手がいなければ話さないし、たとえ話してもそれは独り言になるでしょう。
このような意味で、大学で要求されるいわゆる学術的な文章は独話的で、抽象的な性質を持つものかもしれません。