BLOG文章表現

日本語教育、留学生の作文教育、日本語の文章や表現の備忘録です。

要約文と引用の視点

私は〜である。<要約文>
筆者は〜であると述べている。<引用>

留学生に要約文を書いてもらうと、原文の「私」を「筆者」「書き手」など他者として書いている文章に出くわすことがあります。
要約文は「筆者=私」という視点で書くこと、一方、引用は「筆者(原文の書き手)」「私(論文・レポートの書き手本人)」は区別することを注意します。

しかし、このような注意をしても、引用したものなのに自分の意見や説明であるかのように書くことはなかなか直りません。

引用するという行為は、書き手である自分の意見や立場が確固としてある場合は有効なのではないでしょうか。
例えば、反対意見を述べる場合などです。

それに対して、賛成意見を述べたり、自分が共感する内容について説明をしたりする場合、引用元と同じ意見や説明を異なる表現、いわゆる自分自身の言葉で述べるというのがしにくいようです。
したがって、引用の表現を練習して書けるようになるのはそう難しいことではありませんが、それをレポートや論文の中で使いこなせておらず、結果としてほとんどがコピーペーストのような文章が出てくるのではないかと考えます。

要約文と引用の視点の違いを自覚することは、他者と自分の表現の違いを区別する第一歩です。